国府津の海岸のほど近く、春のお花の薫りがただよう路地を進んだその先に、静かにたたずむ平屋の古民家と出会いました。

近づいてみるとモスグリーンの屋根とチョコレートブラウンに塗られた板張りの外観。そして広いお庭と素朴な木塀。夏みかんのシンボルツリーと井戸まである…!
なんだか全てがキュンとくる。ずっと探し求めていたのんびり平屋暮らしがここなら叶いそう…と外観だけでわくわくしてきませんか。

 

南向きのお庭は太陽が燦々。広いお庭を駆け回る愛犬を眺めながら、縁側に腰掛けて日向ぼっこするのが日常なんて、マンション暮らしの私には夢みたい。

 

そうそう、この物件は以前はちょっとしたギャラリーとして使われていた時期があるのだそう。その名残なのか、玄関ポーチには手作りの愛らしいタイルが埋め込まれています。そんなポーチを抜けて、次は室内へ入ってみましょう。

6帖間も8帖間も縁側も、それぞれ襖や障子で仕切ることもできますが、わたしなら建具は外したままにしてどーんと開放感のあるリビングダイニングとして使うかな。
前の所有者さんが畳からフローリングにリフォームして使っていたから、経年美化したこのフローリングはそのままに、お気に入りのキリムのラグを敷いて、お庭を眺めるソファを置こう。

縁側はもちろんこのまま残しましょう。今は縁側のないお宅の方が多いかもしれませんが、縁側のあるおうちってなんだかゆとりがあってほのぼのしていて憧れる。晴れた日は掃き出し窓を全部開け放って、お花の薫りや遠くに海の音を感じながら生活するって、とっても素敵じゃないですか。

 

さてこの物件、そのまま住むのもいいけれど、せっかくだったら自分好みにリノベーションしてみませんか。例えばこんな感じに。

続き間や和室はそのままに、キッチンエリアだけアップデートしてみました。
今は奥の方へ追いやられているキッチンを大胆にダイニング側へ寄せて、対面キッチンに。リビングダイニングと空間が繋がり、家族の様子を感じながらお料理を楽しめます。もともとキッチンがあった場所には広めのパントリーを配置。
ちなみに広めにした理由は、保存食を収納したいから。せっかくの古民家暮らしなら、手前味噌作りや自家製の梅酒作りもチャレンジしてみたいじゃないですか。ここ国府津は小田原の梅の産地”曽我”にも近いので、近所の梅を買って初夏には念願の梅仕事を楽しめそうです。

洗濯機置き場は洗面室により近い場所に移動。ご希望によって洗濯機のまわり＝パントリーの手前半分をランドリールームとするのもいいですが、このおうちなら晴れた日はお日様をたっぷり浴びれるお庭干し、天気の悪い日は縁側をランドリールームにするのがいいかなあ。

 

…なんて、こんなリノベーションはどうでしょうか。
使い勝手のいいキッチンを備えながらの、昔ながらの縁側ライフ。縁側で曽我の梅や柿を干したり、栗の皮剥きをしたり。小田原で取れる旬の野菜で保存食をつくりながらの生活は、今までのマンション生活よりぐっと季節の変化を楽しめそう。

 

・・・・・

そしてもうひとつ。この物件のある国府津エリアはレトロな看板建築や古い商家、蔵なども多く残っていてまちなみにも味わいがあります。最近は新しい施設も続々オープンしていて、なにかと話題なんです。マルシェやライブイベントなどが不定期で開催されている貸しスペース「BLEND PARK」まではおうちから徒歩3分、ビーチヨガなどのイベントが不定期で開かれる国府津海岸までは徒歩2分。
市外からの移住でも、すぐに移住仲間の知り合いがたくさんできそうで安心ですね。
国府津エリアを紹介したコラムはこちらから。

・・・・・

 

最後に実はこの物件、なんと築100年を超えているんです。でも内観も外観もそれを感じさせない清潔感があります。きっと代々この物件を所有されてきた方々が、暮らしに合わせてアップデートを繰り返しながら、大切に大切に暮らし繋いできた証なんでしょうね。

築100年の古民家暮らしの物語、次はあなたが紡いでみませんか。

[文・土屋]

▼こちらは元桶屋の古き店舗兼住居。

元桶屋のレトロな住居兼店舗