研修で栃木に行ってきました。(後編)
7月某日、旧三福メンバーで栃木に研修に行ってきました。
前編のレポートはこちらをご覧ください。
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後編最初は、宇都宮市で空間プロデュースを掲げ、設計・デザインの他に不動産仲介業などもおこなう建築事務所『ビルススタジオ』を訪問しました。数年前に商店会が解散し、シャッター街となっていたもみじ通りにオフィスを設けたことから再び動き出したこのまち。ビルススタジオ代表の塩田大成さんにお話を伺いました。
どんな熱いお話が聞けるのかドキドキしていると「ぼく、もみじ通りでは仕事しないんです。お客さんとご近所さんは分けたいじゃないですか。なんか分かんないことがあったら聞いてね、くらいの感じです。」とあっさりおっしゃいました。塩田さん曰くあくまで自分はきっかけを与えたに過ぎず、集まった方々それぞれが動いた結果今のような賑やかなもみじ通りになったのだとか。控えめに話す塩田さんですが、困った時にすぐそばに相談できる人がいるのはもみじ通りに集まった方にとってなにより心強かっただろうなと想像できました。
お話の中で「手がけた物件がすぐに埋まってすぐに利益が出ることよりも、時間がかかっても入るべき人に入ってもらえて、その評判からまた新しい人が集まってきてくれたらいい」と仰っていたのが特に心に残りました。
貸す側としたらついつい空室をなくすことばかりに注目してしまうけれど、誰でもいいのではない。このまちでの暮らしを心から楽しんでくれる人が集まってくれたら、まちの豊かさは広がっていくはず。目先の利益じゃなくてこの先のまちの在り方まで考えている塩田さんの言葉からは、単なる一過性のブームで終わらせない、持続可能なまちづくりの形を感じました。
事務所の近くにあるビルススタジオが手がけたもみじ図書館も見学させてもらいました。古いアパートの1階部分の2部屋をぶち抜けにして広々とリノベーションされていて、これまた旧三福メンバーの好きそうな感じ◎
どうせ使われていない場所を誰でも使える図書館という名前で、事務所の資料室兼ショールームとして開放した結果どんな人が来るのか?などリサーチ出来る場にもしたかったんだそう。
豪華な内装や立派な家具とかはないんだけれど、建物の造りを生かしたレイアウトや雰囲気作りによって、居心地がよくてあっという間に時間が経ってしまいそうな空間でした。
お金をかけずとも建物の魅力を最大限生かしたビルススタジオのおしゃれな仕事ぶりと実験的な試みに刺激を受け、旧三福不動産へのリノベーションのご相談に対してもこういったセンスでお応えしたい!と思いました。
次に向かったのは那須塩原市の黒磯というエリアにあるCAFE SHOZO。
こちらはまだカフェとかリノベーションという言葉が珍しかった1988年にオーナーである菊地省三さんがご自分で古いアパートを改修して始められたそう。CAFE SHOZOの他にも雑貨屋さんや飲食店など近辺に10件ほどの店舗を展開しており、その辺り一帯がおしゃれスポットとなっていました。
菊池さんのようにセンスも技術もあって新しいことを始めるのに自分でなんでも出来ちゃうDIY大好き!な人もいるけれど、多くの人にとってはかなりハードルが高いですよね。小田原で新たな生活を始めたい、自分の店を持ちたい、だけど自分だけではどうしたらいいか分からない…そんな方々を私たち旧三福不動産がお手伝いさせてもらって一緒に素敵なお店や空間を作っていけたら、と思いました。
今回の研修では、まちづくりについて改めて考えさせられました。
ただ他の地域からたくさん人を連れてくればいいというものではなく、このまちを愛し、このまちの暮らしを楽しむ人を増やすことが本当のまちづくりだと感じました。それが続いていくこと、それこそが持続可能なまちづくりなのだと思います。
前編も含め今回お話を伺った風間さんと塩田さんは、どちらもまちが再び元気になるために奔走されている方ですが、タイプの全く異なるおふたりでした。
風間さんがものすごいエネルギーで周りを巻き込む台風のような人だとすれば、塩田さんは静かに体制を整えて受け入れる力強い波のような人かもしれない。
全然違うやり方のふたりだけど、どちらもまちにどんな人が集まるかを大切にしていて、そこで暮らす方がいきいきしていることに喜びを感じる。核心の部分は通づるものがあることに気づき興味深かったです。
まちづくりの先陣を切る人それぞれのやり方で集うべき人が集うまちになっていくのは素敵だなあ。
わたしたちも小田原で自分達らしくそんな活動をしていきたいな、と思えた旅でした。
ご紹介した場所はどこも本当にオシャレで素敵なスポットばかりです。栃木へ行く際はぜひ行ってみてくださいね!