[後編・3日目]走れ、お神輿!小田原のまちが高鳴る3日間|松原神社例大祭レポート
*このコラムは以前公開した「お祭り男子に聞く!お神輿の舞台裏と担ぎ手たちの想い」の続編です。
3日間に渡り開催される松原神社例大祭もいよいよ最終日。この日も御濱降り、小田原駅への突っ込み、宮入りなど朝から晩まで各所が盛り上がります。
朝一番からお神輿が浜辺に集結!見ているだけでドキドキの御濱降り
2日目に続き、この日は古新宿龍宮神社のお神輿も朝8時から御濱降りを行います。浜町にある御旅所(御仮屋とも言う。渡御の途中にお神輿が一時的にとどまる場所)から出発した神社のお神輿が町会のお神輿5基と共に町内をぐるりと回り、浜へ降ります。風も波も前日より少し穏やかで気温も程よく、この日は絶好の御濱降り日和でした。

町内を複数のお神輿が一緒に練り歩きます

大漁旗と共に海を進むお神輿は勇壮です

そんなに?!と驚く深さ(実際はこの写真以上!)まで進んでいくから見ているだけでドキドキします
肩までしっかり入るお神輿もあるなか、担ぎ手の皆さんが笑顔いっぱいだったのが印象的でした。小田原のお祭りで唄われる木遣りはもともと漁師の仕事唄。木遣りと共に海へ入る御濱降りはまさに漁師らしい神事ですね。
多くのギャラリーに囲まれて、駅前のロータリーでも全力で走る!
最終日は、普段はバスやタクシーが往来する小田原駅前のロータリーでも走るお神輿が見られます。ギャラリーも多く、担ぎ手の皆さんも気合が入ります!松原神社だけでなく大稲荷神社の氏子のお神輿も集まっています。ちなみに、神様が乗られたお神輿を上から見下ろすのは不敬にあたるのでバルコニーからの見物は本当はご法度⋯。ぜひ道路から見てくださいね。

駅前にお神輿が集結する景色が見られるのは年に1度のこの日だけ!

2台、3台のお神輿が連結して走るシーンもたくさん見られます

本社神輿ももちろんやってきます
ここからさらに上がるボルテージ!青物町商店街が威勢のいいお神輿で溢れかえる
夕方頃には18時からの宮入りに向けて青物町商店街周辺に続々とお神輿が集まってきます。ここから宮入りまでは青物町商店街や参道周辺の道路は完全に車両通行止め。お神輿が連結して一緒に走ったり、睨み合って相手のお神輿の目の前で急停止したり、急カーブを全力で走ったり…この3日間の集大成とも言える迫力ある姿があちこちで見られます。ギャラリーも集結して青物町、宮小路の盛り上がりは頂点に!

この高張(たかはり)と向き合うのは…

3つの町会の連結したお神輿!連結したまま全力で突っ込みます

間近で見るとやっぱり迫力が違います

夕方になるにつれ続々と集まってくるお神輿たち

木遣りは多くの場合伝統的な歌詞で唄われますが、なかにはオリジナルの歌詞で唄う人もいるのだとか
お囃子が響くなか、参道を全力で駆ける3日間の集大成「宮入り」
そしていよいよお祭りはフィナーレへ。鳴り響くお囃子の音色を背に各町会のお神輿が順に「宮入り」していきます。宮入りとは、渡御を終えたお神輿が神社へ御霊をお返しすること。松原神社の例大祭では、木遣りを唄ったあとに参道を全力で駆け抜けて境内へ突っ込みます。決して広くない参道の両脇にさらにギャラリーが並ぶなか、今年一番の走りを見せるお神輿の姿は圧巻です!

道路には山車が並び、太鼓、篠笛、鉦(しょう)などでお囃子を奏でます

宮入りは、まず高張を持った役員が鳥居の前に立ちお神輿を待ち構えます

木遣りを3本唄い、掛け声とともに鳥居めがけて参道を全速力で突っ駆けます

どのお神輿も最後の力を振り絞って駆け抜ける!

大トリを飾る本社神輿の隊列。各町会から担ぎ手が集結し共同して担ぎます

一際大きな本社神輿
宮入りは18時から始まり、28基のお神輿が順に宮入りを終えて最後の本社神輿の番には21時近くに。本社のお神輿が宮入りするとギャラリーは散り散りになり、お囃子を奏でていた山車もそれぞれの町会へ帰っていって、まちは急速に静けさを取り戻していきます。この日の夜は、3日間ずっと聞き続けていた木遣りの声がまだどこかでこだましているような、不思議な感覚になる方もいるのでは…。
さて、松原神社例大祭の現場レポートはここまで。2025年も松原神社の例大祭は大いに盛り上がりました!
長く守られ、多くの方々の手により続けられてきたこのお祭りは地元の誇りです。これを読んで、来年はぜひ間近で見てみたいな、とか自分でもお神輿担いでみたいかも?!という方がいらしたら嬉しいです。来年以降もたくさんの方と、この小田原らしい豊かな時間を共有できることが今から楽しみです。
▼松原神社のある「宮小路」エリアについてご紹介している記事もあわせてどうぞ。