旧三福不動産|小田原市にある不動産&リノベーションの会社

[小田原ごきげんぐらし]「人が来られる場所をつくりたい」雑貨店店主×元酒屋の古民家店舗

この連載では、ぼくたち旧三福不動産で仲介させていただいたお客さまのその後のごきげんな暮らしをご紹介しています。今回ご登場いただくのは、2018年7月にオープンした生活雑貨のお店《sent.》(セント)の店主、秦美咲さんです。
 
 
築62年の元酒屋さんを改装したお店には、“あると暮らしがちょっと楽しくなる”さまざまな商品が並んでいます。ほうきやバケツなどの掃除道具、ふっくらと手触りのいいタオル、本物のお花をつかったアクセサリーなどなど、秦さん自身が好きなもの、実際に使ってみておすすめしたいと思ったものばかり。気取らないシンプルな商品たちは、アンティークで無骨な建物にしっくりなじんでいます。
 

小田原ならではの商品も置きたくて、と秦さんが選んだのは150年以上続く老舗味噌蔵《加藤兵太郎商店》の《いいちみそ》。最近リニューアルしたパッケージがおしゃれ。


丁寧に商品の説明をする秦さんの姿を見ていると、雑貨屋さんの店主という職業がぴったりだなぁ、と感じます。ですが、実は彼女にとって「雑貨店」というのはひとつの手段でしかないのだそう。もともと“暮らし”に興味があって、不動産業界で働いていた秦さん(元同業者!)。充実していたものの、不動産仲介の仕事は契約が終わってしまえばお客さんとのお付き合いはそれまで、ということが多く、コミュニケーションが好きで出会った人との関係性を大切にしたい秦さんは、少し寂しく感じていたのだとか。
 
次第に、以前から家に人を招くことが好きだったこともあり、人が来られる場所を自分でつくりたい、何かお店を開きたい、という思いが生まれてきました。誰かがふらりと立ち寄ってお茶をして帰っていくような、そんな場所。カフェやゲストハウスなども検討していくなかで、自分自身が雑貨好きであったこと、また作家の知り合いが多く、その方たちの商品や作品の良さを伝えたい、という理由から、雑貨店を開くことにしました。
 

《sent.》の店内。ふだんの暮らしになじむ飾らない商品が並ぶ。壁面の棚は酒屋さん時代からのものをそのまま使っている。


そして、埼玉県北本市というところで最初のお店をオープンした秦さん。その後、都内で働くパートナーと出会い、長い目で見てこれからふたりで暮らしていく場所を探し始めます。それは同時にお店の移転先になる場所でもありました。希望していたのは、自然との距離が近い場所、そして見て回る場所のある観光地であること。福岡出身の秦さんには、遠方から家族や友人が遊びに来てくれたときに自身のお店以外にもそのまちを楽しんでもらえるような場所がいい、という思いがあったのです。人をもてなしたい、という気持ちは土地選びから表れていたのですね。そんな条件のなか探し始めたばかりの頃、今のお店になった物件に出会いました。
 

看板は北本時代から使われているもの。まるで昔からそこにあるようにしっくり来ている。


特徴的な建物の佇まいや改装ができる点などは申し分ないものの、秦さん自身小田原には1度しか来たことがなかったことがちょっとネックでした。ですが、調べていくうちに都内へのアクセスのよさ、海も山も近いこと、箱根も近いことなど、希望していた条件に近いことがわかってきて…。神奈川県内に住む知人などにも相談して多くの人から後押しされたこともあり、パートナーと一緒に引っ越すことを決断しました。その頃のことを振り返って、まさかこんなにすぐ決まるとは思っていませんでした、と笑う秦さん。でも、不動産のお仕事をしていて、よい物件はすぐに決まってしまうこと、物件との出会いは縁であることをよく知っていたので、躊躇はなかったと言います。
 
実際に越してみて、小田原のまちは住みやすいと感じているそう。“ほどよく街”で、駅周辺に行けばだいたいのものは揃っている。また、広すぎないまちの規模感、人とのつながりも魅力に感じています。移転オープンして間もないのに、すでに小田原に顔見知りがどんどん増えている秦さん。ぼくたちもまちの人から《sent.》の名前を聞くようになって、早くも小田原になじんでくださっていることが本当にうれしいです。
 

仕事場、というほど堅くもないし、家、というほどゆるくもない、《sent.》は秦さんにとっても大事な居場所。


秦さんがつくりたかったのは、そしてこれから育てていきたいのは「人が気軽に来られる場所」。だから、今は雑貨屋さんであるこのお店、きっかけさえあれば第2、第3形態へと変化していくかもしれません。例えば、今はストック用のスペースになっている店舗の一角はコーヒースタンドになるかもしれない。広い2階のスペースに泊まれるようになるかもしれない。以前お店のあった北本では、野外映画上映会など雑貨店の営業にとどまらない活動をしていた秦さん。ひとりよりも誰かと何かするのが好きだから、小田原でも面白いひとたちと面白いことをしたい、と静かに、でも熱く語ってくれました。
 
この建物にも、小田原というまちにも、いろいろなことをできるポテンシャルが詰まっていると思う、だからこそここに越してきたのかも、という秦さんの言葉に、こちらまでワクワクしてしまいました。秦さんのごきげん暮らしは、まわりのひとたちも巻き込んで、このまちにどんどん新しいごきげんを生んでいきそうです。
 
 
■ sent.
 [住所]小田原市栄町3-22-10→小田原市本町3-1-6 ※2022年11月ご移転されました。
 [TEL]050-3696-6105
 [営業時間]11:00-18:00
 [定休日]日曜日・月曜日+不定休
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▼オープンされた時のレポートです。

栄町3丁目に雑貨店「sent.」がオープンしました