「ここいいよ！記事で紹介しようよ」と同僚の営業担当氏が提案してくれたこの物件。間取りも外観の写真もぱっと見では地味めだけど…ふむふむ、彼がそう言うってことは本当に良い物件のとき。まず〈南町〉にあるという時点でちょっと期待しちゃう。長く住んでいる方が多くて、文化財になるような古くて良い建物があちこちに残っているエリアなのです。15分後にはカメラを抱えて撮影へ向かっていました。
　
さて、スイスイっと自転車で現地へ。到着すると…「山角天神社」（やまかくてんじんしゃ）の目の前でした。ご近所の皆さんには“天神さん”として親しまれていて、学問の神様としても知られる菅原道真が祀られています。神社の目の前というのはなんだか見守っていただけているようで心強い感じがします（物件は建物の2階部分です）。

住宅街のなかに歴史的建造物が自然に馴染んでいる、この風景が南町の日常なんです。山角天神社も、創建は不明ですが一説には室町後期より前とも言われています。
　
この他にも、さらにグイグイと坂を上がって歩いて3分のところには「清閑亭」が。明治39年（1906年）に黒田長成侯爵の別邸として作られた数寄屋造りの建物で、国の登録有形文化財になっています。今は料亭になっていますが、蔵を活用したカフェでお茶をすることもできます。
　



清閑亭の目の前の坂が↑今ちょうどこんな感じ。このなんでもないワンシーンが良いじゃないですか。
そこからさらに歩いて3分行けば、二宮尊徳を祀った「報徳二宮神社」。緑に囲まれていて背筋がしゃんとします。
　


さてすっかり前置きが長くなりましたが、こんな建物たちがあちこちにあって、北条の時代にも自分と同じように普通の人がここで暮らしてたのかなぁ…なんてふとしみじみちゃう、そんな場所にあるのが今回ご紹介するお部屋です。物件は建物の2階部分です。建物の脇から階段を上がって、お部屋へ。玄関の前は広めのポーチになっています。
　

室内に入ってみると…あ、わかる！ここ、なんかいい。1LDKにしては広めの11帖のLDKに、2面採光の10帖の洋室。空間がゆーったり、たーっぷりしてる。そこに程よく陽が入って、お部屋同士が引き戸でゆるくつながって。見に来る前の印象通り派手さはないものの、深く呼吸をして地に足を付けて暮らせる、そんなお部屋だと感じました。贅沢にひとり暮らしか、仲良くふたり暮らしでも充分暮らせそう。
　








聞くことには、1階に大家さんがお住まいで以前は2世帯住宅として住まわれていたそう。なるほど、このゆったり感はご家族が住むためのおうちだったからだ。もともと賃貸物件として作られた住まいにも良い物件はたくさんあるけれど、オーナーさんが住んでいたおうちというのはやっぱりどこか愛があるというか、大切に作られている感じがします。
　
気になる点としては、洗濯物を干すのが室内になりそうなこと。リモートワークなどで自宅にいることが多い方は玄関前のポーチに干すのもアリかもしれません。あとLDK部分にはエアコンがありません。
でもやっぱりやっぱり、この“なんかいい”感じには惹かれちゃうな…。ご近所の趣あるムードも心地良いし、何より天神さまが守ってくれそう！

［文・寺田］

▼同じく南町にある、窓から山並みの見える1LDKのマンションも素敵です

山並みを望む、ゆったり南町暮らし