［店舗］アンティカルな空気をまとった、街かどの焼菓子店「Qué BONITA（ケ ボニータ）」
下町情緒ある青物町商店街の一角に、クラシカルな佇まいのスパイス香るベイクショップがオープンしました。このお店の主役は美味しいスパイス菓子とベーグルなど。店主さまが丁寧に作り上げる焼き菓子を際立たせるための舞台装置のようなファサード、カウンターをデザインした店舗工事の事例です。
完成後
工事前
＞＞もともとこんな物件でした
以前は焼肉店だった居抜きの店舗物件。入口を入ると一番手前に客席エリア、その後ろに厨房、ふたつの個室が続く、奥に長いうなぎの寝床状の建物でした。内装こそ和風要素が強かったものの、建物が奥に長い分空間をエリア分けしやすいため、焼き菓子の店頭販売のためのショップ部分の他に製造室、オンライン販売用の梱包作業室や収納室が必要だった店主さまにはすでにぴったりなレイアウトだなと感じました。
＞＞こんなオーダーをいただいていました
「アンティカルで上質な印象の内装にしたい」とご要望いただいており、木のぬくもりを感じるカウンターや素材感の伝わる塗り壁など、ひとつひとつの仕上げ材をこだわって選定していきました。アンティーク“調”ではなく、重厚感のある本物を追求したデザインと素材によるお店をイメージされていました。
＞＞こんなお店になりました
アーチ型の欄間ガラスが道行く人の目を惹く、ヨーロッパの街かどに迷い込んだかのようなシックなお店が誕生しました。このアーチ型は打ち合わせ当初からの店主さまたってのご希望。やわらかいアーチがお店の顔としてファサードに個性を生み、看板代わりの存在となりました。
今回の工事では既存の入り口引き戸を取り払い、新たな両開き扉をさらに一歩内側に設置しています。これにより店先のポーチ部分がゆったりと広くなり、歩道から店内へのスロープがなだらかに。親しみやすく開かれた雰囲気の店構えに仕上がりました。内側に入った入口扉に反して店先にせり出す形になった空間は、焼き菓子だけでないアパレルや雑貨販売などのこれからのお店の展開も見据え、汎用性のあるマルチスペースとしています。
両開き扉にはドアノブ代わりに真鍮製の長いバーをあえて斜めに配置。設計士が小田原市内の古い洋館から着想を得たデザインで、ファサードに華やかさを添えました。風格ある大きな扉を引いて入るというプロセスが、お店の世界観に足を踏み入れるときめき感を演出します。
テーマであるアンティカルな雰囲気は重視しつつも、入り口扉や腰壁はあえて小田原産の杉板貼りに。遊びごころとしてのほんのり和風なエッセンスを加えています。ファサードを洋風に作り込みすぎず小田原の街に馴染めるよう、洋菓子の雰囲気に寄せすぎないようにと配慮しました。
店内に入ると目に飛び込んでくるのは、ずっしりとした存在感のあるオーダーメイドの木製カウンター。当初はヴィンテージショップなどで年代物のカウンターを探しましたが、なかなかいいサイズのものに巡りあえずオーダーメイドで製作することに。結果として、内側に収納棚板を設けたり、レジ用のコンセントを仕込んだり、スパイス菓子などを置くお皿に合わせ奥行きを調整できたりと、使い勝手の良いカウンターになりました。
店内の床、壁、天井は装飾性を極力削ぎ、モルタル塗りでシンプルな空間としたことで、モールディング（縁を囲う帯状の装飾）でデコラティブなデザインを施したこのカウンターをより引き立たせています。南側の窓から入り込む自然光がカウンター側面の凹凸に美しい影を落とし、上質で品のあるイメージに仕上がりました。
＞＞こんなふうに営業されています
すでにオンライン販売で人気だった“スパイス香る大人の焼き菓子”のショップ『Qué BONITA』が初めてオープンした実店舗。市内外から多くの方が足を運ばれ、営業日には長い行列のできる話題のお店となっています。
しっかりと奥行きのあるカウンターにはキャロットケーキやベーグルなどスパイスが豊かに香る商品がめいっぱいに並び、目にも楽しい演出で訪れるお客さまをワクワクさせています。また定期的に行うお花屋さんとのコラボレーション営業の際には入口横のマルチスペースにお花を陳列。幅のある使い方をしたい、というオープン前のイメージを実現されました。
店主さまの理想の詰まったこの空間での購入体験もまた、スパイスの香りに包まれる面白さのひとつとなることでしょう。『Qué BONITA』の世界観をどうぞ味わってください。
▼Qué BONITA（ケボニータ）
［住所］小田原市浜町3-1-43
［営業日］下記instagramアカウントにてご確認ください。
［instagram］@bonita__elena.o
