[小田原ごきげん暮らし]「恩恵を受けるだけでなく、地域を守っていきたい」大好きなまちのために動き出した移住者一家
この連載では、旧三福不動産で仲介させていただいたお客さまのその後のごきげんな暮らしをご紹介しています。
今回の主人公は、千葉県船橋市から小田原市国府津へ移住したフリーランスのジャーナリスト夫妻、上垣喜寛さん、平井明日菜さんと3歳の双子のお子さんのご家族です。
小田原は、地域に深く入り込んでご近所さんと密にコミュニケーションをとる暮らしも、ご近所付き合いはほどほどにマイペースに暮らしを楽しむあり方もどちらも選べるまち。上垣さん・平井さんファミリーは引っ越してすぐにこのまちが大好きになって、ディープに地域と関わりたい方たちのお手本みたいな暮らし方を始めています。
コロナで息苦しい都市部からの移住
ご家族が以前住んでいたのは都心からほど近いベッドタウン、船橋にある賃貸マンション。自然が身近にある場所で子育てしたい、という思いがあって長年移住先を検討していましたが、実際に子育てが始まると先の暮らしをじっくり考える時間は取れず具体的な計画がなかなか進まずにいました。
そんなときに起こったのが新型コロナウイルスの流行。おたがいを監視し合うような世知辛い雰囲気が高まっていくなか、子どもたちの保育園が臨時休園に。在宅で仕事をしながらも元気な子どもたちをこまめに外に連れ出すなど周囲に迷惑がかからないよう生活していましたが、あるときマンションの階下の住民から子どもたちの足音に対してクレームを受けてしまいました。
それまでも子どもたちにはずいぶんガマンを強いていたから、このままの環境で暮らすことには限界を感じたおふたり。一刻も早く落ち着ける場所に引っ越そう、と決意しました。求めていたのはもちろん、自然が近くて子どもたちが元気にのびのびと暮らせる広い家です。
小田原に来たのは旧三福があったから
ところで、上垣さんと旧三福不動産の出会いは2017年。「自伐型林業推進協会」というNPOの理事をしている上垣さんをトークイベント「暮らしの教室」の講師としてお呼びしたときから、面白い会社だなぁと思ってくださっていたそう。いつか家を買うときは地域のために活動している不動産屋さんと付き合っていきたい、という思いがずっとあって、いざ物件を探すときに旧三福不動産に頼みたいとご相談くださいました。もともと小田原に縁があったわけではないのに”小田原に来たのは旧三福があったから”って言ってくださって、すっごく光栄です。
そんなわけでご家族がたどりついたのは、国府津の海のそばにある平屋の古民家でした。気に入ったのは昭和の雰囲気ただよう玄関がきれいに残っていたことや、よく見ると部材に立派な木材が使われていてつくりがしっかりしているところ。古くて多少の傷みはありましたが、DIYをしたかった明日菜さんにとってはむしろ自分が手を入れる余地が十分にあるということが魅力でした。
人が人をつなぎ、顔の見える人として地域に溶け込めた
おふたりにお話を聞いたのは、お引越しから約5ヶ月経ったころ。『暮らしはじめてから毎日ここに住んでよかった、って思ってるんです。海で子どもが楽しそうに遊んでいる姿を見るとしみじみ思います』と明日菜さんは笑顔で言います。おふたりが気に入っているのは、海に近く広い家だけではなく国府津という地域そのもの。徒歩圏内のお店で買い物や食事をして、地域の人たちとのいい出会いがあり、ご近所に見守られながら子育てする。そんな飾らない暮らしは、長く都市部に暮らしていたおふたりにはとても心地の良いものでした。
特に近所にある貸しスペース「BLEND PARK」は地域にはやく馴染めたきっかけの場所。このPARKのほか、国府津でコワーキングスペースや民泊を運営する「BLEND」の杉山大輔さんが、PARKでのイベントに参加するたびにいろんな人を紹介してくれたそう。『杉山さんは国府津のキーパーソン。彼のおかげで溶け込める速度が10倍速になったと思います!』っておふたりは口を揃えます。
小さいまちだから、ひとりと知り合えばどんどん人の輪が広がっていく。地元の方があいだに入って顔をつなげてもらえたことで、単なる”まちにいる人”としてではなく顔の見える人として地域のなかに溶け込めたといいます。
単に自分たちの暮らしを楽しむだけでなく、地域のなかで役割を担いたい
上垣さん・平井さんご夫妻はただこのまちで楽しく暮らす恩恵を受けるだけではいたくないとも考えています。地域のみんなが大事にしていることやこのまちの心地よさを維持できるよう、自分にできることは何でもしたい、と。これまで10回以上引っ越ししてさまざまな場所に暮らしてきたおふたりですが、過去に暮らしてきたどの土地に対してもこんな感情が湧いたことはなかったのだそう。
地域のなかで何かしらの役割を担いたい、とさっそく行動に移したことのひとつが、地域の消防団への入団。消防団の仲間はまちの日々の変化をつぶさに把握していて、まちの細かな情報を教えてもらうことも多いそう。いずれはNPOで携わっている林業のノウハウでも西湘地域に恩返ししたいと考えています。
ジャーナリストとして全国各地を取材してきた上垣さんですが『私にとって”地域”は取材して想像するものでしかありませんでした。国府津は地域の一員として役割をもらったはじめての場所であり、”地域”というものを教えてもらえる存在なんです』と新鮮な気持ちを綴られています。(noteの記事に取材時のことを書いてくださいました)
来てほしくなるまちに住んでいるという誇り
これまでは“どこでも行きます!”とフットワーク軽く全国を飛び回っていた上垣さんの最近の口癖は、もっぱら“国府津に来てください!”なんだそう。自分がこころから楽しんで暮らし、惚れ込んでいる国府津というまちをたくさんの人に知ってほしい、感じてほしい、と思っています。明日菜さんは、子どもたちは生粋の国府津っ子として育てたいんです、ってワクワクした表情で教えてくれました。
まちへの愛着って、住んでいる年数とは全然関係ないのかもしれません。国府津のことをとても楽しそうに、大事そうに話すおふたりは、愛着だけではなくてすでにまちに対して誇りをもっているように見えました。これからはこのご家族が国府津で誰かの、何かのきっかけをつくっていくキーパーソンになっていくんじゃないかな、ってそんなことを思いました。国府津、きっとこれからどんどん面白くなっていくはずです。
『小田原ごきげんぐらし』では引き続きお客さまと物件、地域とのすてきな出会いと暮らしをご紹介していきます。みなさんのおうち探しにわくわくをプラスするお手伝いができれば嬉しいです。